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モラルハラスメントのパートナー

勝ち組なのに苦しいのはなぜ ~毒親とアダルトチルドレンからの脱出~

<著者:KYO>

4.モラルハラスメントのパートナー

 

│うつ病を支えてくれたパートナー

 
うつ病を患う少し前に、新たなパートナーとお付き合いを始めていました。
 
社会的地位と細やかな優しさで、心身ともに疲れ切っていた私に寄り添ってくれていました。
 
ただ、既にうつ病の兆候があった私は、素敵な彼氏ができて悩みが吹き飛んだ、という訳にはいかず、程なくしてうつ病生活を送ることになりました。
 
徐々に、知り合った頃の私ではなくなり、すぐに別れるだろうなと、切なくもなりましたが、うつ病の苦しさで、それどころではありませんでした。
 
電話やメールもできなくなると、自宅まで訪ねて来てくれるようになった為、うつ病であることを告白しました。
 
すると、意外にも、食事の用意も出来ない私の為に、玄関先に何度も食料を運んできてくれるようになりました。
                                                                                 
薬とアルコールの服用で、徐々に体形の変わっていく私から離れていく事もなく、うつ病を克服するまでの間、余計な事は言わず、命をつなぐための食事を与え続けてくれました。
 
うつ病を克服するまでの彼の行為には、今でも感謝しています。
 
しかし、状況は徐々に変わっていくことになるのです。
 
 

│モラルハラスメントからの脱出

 
うつ病の克服後、暫くは仕事をしないと決めていた私は、彼の家で過ごす時間も増えていきました。
 
事実婚状態では、意見の食い違いも当然出てくるのですが、そのような時の彼は、突如として顔色を変え、不機嫌さをあからさまにするのでした。
 
そして、私自身のストレスを減らすために、徐々に彼の機嫌を伺って会話をするようになっていきました。
 
経済的には今までの蓄えでどうにか生活していけるのに、この時点ではどうしても別れられなかったのです。
 
世間体を気にしていた私は、この生活が、仕事をしていない言い訳に出来るのと、両親が彼といる私を受け入れてくれていると感じていたからです。
 
しかし彼は、私の一言一句、言い方にも反応し始め、「チッ」と不機嫌に言い捨てるだけでなく、あらゆる物を、見事なコントロールで私の近くに投げつけるようになっていきました。
 
起床後に「お早う」と言えば「偉そうだな」と、「お早うございます」と言えば「嫌みかよ」と、仕方なく黙り込むと「感じ悪いんだよ」で朝が始まり、彼の顔色に細心の注意を払いながら、仕事へ送り出すのでした。
 
ほっとできるはずの昼間も、電話やメールで、私が何をしているのか、どこにいるのかの連絡がくるのです。
 
そして、外食好きの彼が、私の支度の為に、仕事終わりに電話をしてくるのですが、体調が悪い時に「体調が優れないから家で食べたいの」と、声を絞り出すと「つまんない女だな」と、吐き捨てて電話を切るのでした。
 
帰宅後に、酔って暴れる事はありませんでしたが、横になっている私に対して、敢えて聞こえるように、足元にあるゴミ箱や置物を蹴り飛ばすのでした。
 
どこにでも私を連れて歩き、これ以上ない優しいパートナーを完璧に演じ切る彼の事を、だれにも相談することは出来ませんでした。
 
恐怖と緊張の日々で、帯状疱疹ができ、めまいや高熱で、何度も救急車で運ばれましたが、それでも、世間体と、両親に失望されないために、彼から離れられなかったのです。
 
数年後、彼の両親から入籍を迫られた時、これが一生なんて、私、本当に死んじゃう、と命の危険を感じて、やっと逃げるように自宅に戻り、パートナー関係の解消になりました。
 
後に、彼の言動がモラルハラスメントだったと知ることになりますが、この時に、自宅に戻り、一人の生活を送ることが、私の人生を変える大きな一歩目だったと思います。
 
<著者:KYO>