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職場で、人の目が怖い時には?

うつをやり過ごす50の方法

うつ病歴10年以上の人が書いた、ツラいうつをやり過ごすリアルな知恵


18.職場で人の目が怖い時には?

~過去の自分と比べてしまう時には?~
 
何気ないオフィスでの会話。
上司への報告。同僚との打ち合せ。
後輩への指示。

「うつ発作」の時は話すだけでも大仕事ですよね。

ついつい暗い顔で対応したり、
おおげさに笑って元気に振る舞い、
不自然になってしまうもの。

会話が終わるとほっとして、ふと考え始める。

今の私の対応、「うつ」っぽかったかな。
また上司に気を使わせちゃったかな。
同僚も「うつ」だからとバカにしているのでは。
後輩に、今の指示でダメな先輩と思われてしまったとしたら…。

人の目が怖くなってしまう。

考え始めると止まらなくなって、
うまく振舞おうと気苦労を重ねて、
周りの人との会話が余計にツラくなる。

まさに悪循環ですよね。
あなたにも、ご経験ありますでしょうか?

これってすべて「うつ」特有の
後ろ向きな思い込みがことの発端ではないでしょうか。

その思い込みをやめろといわれても、
これまた難しいものですよね。

でも、よく考えるとその思い込みって、
周りの人があなたの事を
よく知っている人だからこそおこる思い込みですよね。

ならば、周りの人が今日あなたと初対面だったとしたら?

あなたの性格も、
あなたが「うつ」であることも、
あなたが「うつ」になる前は
どんなにバリバリ仕事をしていたのかも、
何にも知らない人たちだとしたら?

きっと先ほどのような思い込みは
成り立たないのではないでしょうか。
 
もしあなたが「うつ」の中、うまく振舞おうとして
会話することがツラくなってしまったり、
人の目が怖くなってしまったら、こんな風に想像してみましょう。

私は今日転勤(転職)して、
とある知らない街へやってきた。
近所にどんなお店があるのかもわからない。
最寄り駅を走る電車以外は交通手段も知らない。
オフィスの窓から見えるのは初めて見る空。
初めて見る道。初めて見る風景。
今日はその街での初出社。
上司も同僚も部下も初対面。
その割にはみんな気軽に話しかけてくれて仕事がしやすい環境だ。
でもみんな私のことを
よく知らないのだから、
私が多少ヨソヨソしくても、
緊張していても、
浮かない顔していても、誰も気にもとめない。
そして、私は明日、また違う職場へと旅立っていく。
もう二度とこの職場に戻ってくることはない。

毎日同じ職場の同じ人と
接していると感じながら、
昨日のことは忘れてリセットなんて、
簡単にできるものではないですよね。

だとしたら、

心だけでも毎日違う職場に行ってしまいましょう。
そして、毎日、初対面の人たちと仕事をしましょう。

想像するのもツラかったら、
無理に具体的な想像を膨らませなくてもかまいません。

仕事の手を止めて、
「今日は初出社」とつぶやきながら、
ただボンヤリ1分間、周りを見渡してみましょう。

たくさんの人たちがいます。

この人たちに、
毎日信頼や実績を積み重ねようと
気負ってしまえば、
それが崩れてしまうのが怖くなる。

でも、目の前にいる人が初めて会う人なら。
そしてその人ともう二度と会うことがないのなら。

もっと気負わずに人と接することが
できるのではないでしょうか。

そんな感覚がフワっと心を包み始める時。

きっと「うつ発作」の
根にあった心配や焦りも、
ゆっくりとあなたの心の外へと流れ出していくはずです。

降り積もった雪が
穏やかな朝日に包まれて、
ジワッと溶け出していくように。
 
<うつをやり過ごす50の方法>
 その18
『今日は初出社だと想像する』
 


◆実践のコツ
旅行で初めて訪れた街を見渡すような気分で窓の外をながめて、
段々とオフィスの中に視点をうつしていきましょう。
知らない道を散歩する時のような、のんびりとした開放感をイメージしてみましょう。

◆使えるシチュエーション
人と接する時 / 会議や打ち合わせの前 / 職場に入る時 など

◆適用しやすいうつパターン
恐怖 / 憂鬱 / 悲しみ / 怒り
 
 
<局長 信夫克紀(しのぶ かつのり)著>