HOME | 育児と抑うつと暴言夫 | モラハラ夫に負けない

モラハラ夫に負けない ‐ 悪人になる方法

育児と抑うつと暴言夫

<著者:ヤマノ イノ>


4.モラハラ夫に負けない ‐ 悪人になる方法

 

丨悪人になるためには

 
前回、悪人とならなければ、苦しい思いをするだろうと書きました。
 
善人では正しさを疑うことが出来ずに、正しさに縛られてしまうためです。
 
悪人となるためには大切なことが、2つあります。
 
1,常に冷静であること。たとえ動揺しても、素早く冷静な精神状態に回復させること。
 
2,悪人であることを理由に開き直って、自身の欲求を満たすためにベストな選択肢を選ぶこと。
 
以上2つが必要となります。
 
「たったこれだけ?」と思われたでしょうか。
 
悪事をはたらかない悪人になるためには、これぐらいが適当なのです。
 
あまりにも悪の考え方に染まってしまえば、いずれ法律に触れる罪を犯して罰則を課せられるかもしれません。
 
心軽やかに生きるために悪人となったはずなのに、そうなってしまっては本末転倒です。
 
ほどよい悪人となって心軽やかな人生を送りましょう。
 
 

丨常に冷静に。揺らいだ感情を元に戻す方法

 
揺らいだ感情を回復させるためには、まず自身が動揺していることを自覚することが大切です。
 
動揺していることを自覚出来なければ、怒りや恐怖の感情に支配され、見動きがとれなくなります。
 
動揺が長引くほどに身体の緊張が続き、やがては心身ともに疲れ果ててしまいます。
 
そうならないためには、「心の動揺を感じたらすぐにブリージングすることが大切だ」と私はシステマに教わりました。
 
システマとはロシア軍特殊部隊で使われていた技術のことで、ブリージングとはその中で用いられる独自の呼吸法のことです。
(北川貴英『逆境に強い心のつくり方 システマ超入門─ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド(PHP文庫)』)
 
この著書のなかでは、動揺に気づいたらすぐにブリージングという、呼吸法を奨めています。
 
ブリージングのやり方は、鼻から息を吸い、口をすぼめて「フーッ」と軽く音を立てつつ息を吐きます。
 
息を吐くことで、副交感神経のスイッチが入り、リラックスします。
 
リラックスすれば、自然と穏やかな気分になるため、冷静さを取り戻すことができます。
 
怒りや恐怖といった、人ならば自然と湧き起る感情に延々と支配されないためにも、ブリージングはとても有効です。
 
 

丨「だって、私悪人ですもの。」と開き直る

 
また悪人になるためには、自身の行為を認識した上で、悪人であることを理由に開き直ることも、とても重要です。
 
開き直らなければ、正しさに縛られて自身の欲求を満たすためにベストな選択肢を選ぶことが出来ません。
 
例えば、仕事を終えて定時で退社しようする時、周りの誰ひとりとして帰る気配がないとします。
 
この後「早く子供を保育園に迎えに行きたい」という正当な理由があったとしても、どこか後ろめたさを感じてしまうのではないでしょうか。
 
これは、正しさに縛られはじめている証拠です。
 
“正しさが「皆頑張っているのにひとりだけ帰るのは卑怯だ。良い人ならば手伝うべきだ!」と、良心を刺激して罪悪感を呼び起こすことで、後ろめたさが生まれるのです。
 
こうなってしまうと罪悪感に堪えきれず、「早く帰りたい」という気持ちは「身勝手だ」と抑えつけ、残業を自ら引き受けてしまうかもしれません。
 
周りに良く思われたい、良い人でありたいと思うために、自分の欲求を犠牲にしてしまうのです。
 
自分の欲求を犠牲にし続けていると、次第に自身の欲求さえわからなくなります。
 
欲求が何かわからなければ、欲求を満たせるはずもないので、当然、欲求不満に陥ります。
 
自身が欲求不満に陥っていることにも気付かず、ただ漠然とした不安をいつも抱えることになるでしょう。
 
それを防ぐためにも、開き直って自身の欲求を満たすためにベストな選択肢を選ぶことが大切といえます。
 
この例の場合においては、
 
(皆は残業しているけど、私は帰るわ。他人のことなんか興味ない。だって、私は悪人ですもの!)ごめんなさいね?お先に失礼します。」
 
と、正しさに縛られず、悪人であることを理由に開き直ることで、自身の欲求を満たすためにベストな選択肢を選べば、欲求不満にも陥りません。
 
 

丨悪人になればモラハラ夫も怖くない

 
自身の行為を認識した上で「だって、私は悪人ですもの。」と開き直れるようになれば、モラハラ夫に怯える必要もなくなります。
 
なぜならば、モラハラ夫の攻撃パターンの殆どは正しさが仕掛けてくる、『良心を刺激して罪悪感を呼び起こす』という攻撃方法と同じだからです。
 
「仕事を言い訳にして、家事を怠ってもいいとでも思っているのか?
 
「仕事で疲れている俺に育児を手伝わせるつもりか?お前はなんて酷い奴なんだ!母親失格じゃないか?」など、モラハラ夫は多くの場合こちらの『良心を刺激して罪悪感を引き起こす』形で攻撃を仕掛けてきます。
 
しかし、ここで開き直ることが出来たなら、攻撃を無効化することが可能です。
 
例えば、前者の「仕事を言い訳にして、家事を怠ってもいいとでも思っているのか?」に対しては、
 
「家事を怠ってるけど?それが何か?」と開き直れば、モラハラ夫からの追撃は受けても、罪悪感に苛まれて自滅することがなくなるため、今までより格段に心の負担が減ります。
 
心の負担が減れば、モラハラ夫と戦うために態勢を整えて戦略を練りやすくなります。
 
適切な戦略を練ることが出来るようになれば、次第にモラハラ夫も怖くなくなるというわけです。
 
しかし、これで安心していては、たちまちに足もとをすくわれてしまいます。
 
モラハラ夫と離婚せずに暮らすためには、開き直るだけでは不十分です。
 
モラハラ夫と暮らすためには、ある心構えも必要です。
 
次回、第5話「モラハラ夫と離婚しない〜猛獣と暮らす心構え〜」に続きます。
 
<著者:ヤマノ イノ