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モラハラ夫と離婚しない - 猛獣と暮らす心構え

育児と抑うつと暴言夫

<著者:ヤマノ イノ>


5.モラハラ夫と離婚しない - 猛獣と暮らす心構え

 

丨モラハラ夫と離婚しない選択肢を選ぶ

 
モラハラ夫と離婚しない選択肢を選ぶからには、悪人となって開き直ることが重要だが、それだけでは不十分である、と前回書きました。
 
「では、どうすればモラハラ夫と『夫婦円満』に一緒に暮らせるようになるの?」ということですが、残念ながらモラハラ夫と『夫婦円満』に暮らすことは難しいと思います。
 
私がそう考えるようになったのは、モラハラの提唱者であるマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏の著書「モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない」に、〈(モラハラ加害者は)自分を守るために、他人の精神を平気で破壊する。しかも、それを続けていかないと生きていくことができない。 P210より抜粋〉とあったためです。
 
著者によると、モラハラを行う加害者というのは、内心の葛藤を自分自身で引き受けることができないため、その葛藤を外部に向けて、他人を利用して破壊することで葛藤から逃れる必要があるのだそうです。
 
つまり、モラハラ夫はモラハラをし続けなければ、生きていけないということになります。
「じゃあ、モラハラ被害から逃れるためには、もう離婚するしか方法はないのかな…」と肩を落とされてしまいましたでしょうか。
 
確かに、著書のなかでもモラハラ被害から逃れるためには離婚すべきだ、と何度か繰り返されていますし、可能ならばその方がいいのかもしれません。
 
しかし、そうは言っても、のっぴきならない諸事情があり、急には離婚できない・したくない方も多いのではないでしょうか。
 
私も、その中のひとりです。
 
モラハラ夫と『夫婦円満』に暮らすことができるとは思いませんが、愛する(かつて愛した)夫は危険人物だと認識すると同時に、理想の家庭像を捨てることが出来れば一緒に暮らすことも可能だと考えています。
 
 

丨モラハラ夫は危険人物だという認識をもつ

 
モラハラ夫と一緒に暮らそうと決めたからには、夫が危険人物であると認識する必要があります。
 
前掲書に記述があるように、モラハラ夫は自身が生きるために、他人の精神を破壊し続けることを必要としているためです。
 
また、モラハラ夫の危険性を認識することは、モラハラから自分の心身を守るためにも重要です。
 
危険であると知っていれば、危機意識を持つことができるため、自分自身を守るための選択肢を選べるようになります。
 
たとえば、ライオンが突然目の前に現れた時に、嬉々として近寄り、スマホで写真撮影する人はまずいないでしょう。(*SNSに命を懸けている一部の人々は除く)
 
ライオンが肉食獣であるため、人間も彼らのゴハンになり得るという危険性を知っているためです。
 
勿論、危険性を知るだけでは、生き延びることはできません。
 
しかし、危険性を知ることで、生き延びるための最初の分岐点で、より生存率が高い選択肢を選べるようになります。
 
モラハラ夫と結婚生活を続けようと決意するにあたって、まずは「私の愛している(かつて愛した)夫は、危険人物なのだ。」と認識を変える必要があると言えるのではないでしょうか。
 
 

丨理想は捨てる

モラハラ夫と暮らすためにはまた、誰もが想い描くであろう理想の家庭像を捨てる必要があります。
 
モラハラ夫は危険人物であるため、彼との結婚生活において『夫婦円満』等の理想の家庭像を実現出来ないためです。
 
つまり、理想の家庭像現実の家庭のギャップが永久に埋まらないのです。
埋まらないギャップを埋めようとすると、常に理想の家庭像を追い続ける羽目になります。
 
例えば、「夫婦は、お互いを敬うものだ」という理想の家庭像を思い描いていたとします。
 
ところが、モラハラ夫は妻を敬うどころか見下して、徹底的に蹂躙するでしょう。
 
これはモラハラ夫の性質として、自身の利益のみを追求するという側面があるので、妻を敬ったところで自分に何の得もないことを知っているためです。
(ただし、妻を敬う形式をとったほうが得だと判断した場合は、表面的に妻を敬うような言動や行動を取る可能性もあります。こういった行動は主に家庭外部で見受けられるため、モラハラ夫は得てして周囲からの評価が高いのです。※これまでの自身の体験に基づく考えです。)
 
このような利己主義者と理想の家庭像に辿り着くことはまず無さそうです。
 
実現しない“理想もまた、あなたを縛る要因となり得ます。
 
 

丨猛獣と暮らす心構え

 
食欲旺盛な猛獣ぐらい危険なモラハラ夫ですが、悪人となって結婚生活の目的を「モラハラ夫を利用する」と変えることができたなら、一緒に暮らしていくことは可能です。
 
主観で恐れ入りますが、危険人物であるモラハラ夫とは愛し合えないというのが、私の考え方です。
 
不可能を可能にしようと頑張ると、どうしても疲れてしまいます。
 
それならば、結婚生活の目的を、「愛」から「相手を利用すること」に変更した方が、心の負担が軽くなるのではないでしょうか。
 
しかし、この他者を利用する姿勢は世間では正しくないとされているので、そのルールに縛られないためには悪人になる必要があります。
 
悪人となって「モラハラ夫といると何かと都合がいいから、利用しよう。ごめんなさいね〜、私悪人ですもの。」と考え方を変えることが出来れば、モラハラ夫と共存する道も開けると考えています。
 
このように悪人になることは、日常生活の様々な場面において、有用性を発揮します。
 
勿論、モラハラ夫以外にも非常に有効です。
 
そう、母親になったら避けては通れない、あの問題についてもです。
 
次回、第6話「ママ友の言葉や態度にモヤッときたら〜期待値を下げる方法〜」へ続きます。
 
<著者:ヤマノ イノ